つくりて紹介
日本古来の伝統技術でデザインを作り出す 株式会社京朋
墨流しの起源は平安時代、貴族の遊びとして水に墨を垂らして流れる様を愛でていたことだと言われています。
水の流れの中で偶発性を予想しながら計画していく技。染料の開発が進んだことで、人々の生活着であった着物の生地（絹織物）の染めへと発展したのです。
今回、墨流しの技法をつかった生地を制作いただくのは、京都に会社を構える株式会社京朋（きょうほう）。
着物の企画・販売をされていらっしゃる京朋さんが墨流し事業をスタートしたのは約3年前。
そこにはこれまで繋がりのあった職人の一人 薗部正典氏が引退するという大きな波乱がきっかけとなったのです。
このままではこれまで築いた氏の技法と文化が途絶えるのではないかと危惧した京朋さんが、なんとか継承したいと手を上げ、会社の主力事業としての第2章 薗部正典氏の始まり とも言える「薗部染工」を継承しました。
色を重ねても混じることのない不思議な流動性。まったく同じ柄にはなることのない、たったひとつのモノづくりに私たちとしても愛情が生まれます。
墨流しで制作された模様
京朋さんとの出会いは、錢屋本舗本館で行ったテキスタイルデザイナー島あゆみさんの個展のときに来訪いただいたときでした。特に多くのことをお話したわけではないですが、同じものにトキメクことこそが共鳴の証のように感じました。
日本の伝統文化・技術を継承し、そこから現代の生活者に向けての提案を続ける株式会社京朋です。
墨流しの工程
京都の墨流しの工房です。
女性４人 の職人が染めています。
生地の両端に布を縫い付け、張木という道具で挟み、両端を引っ張りながら生地を張ります。
両端に針のついた竹製の道具を生地の耳に突き刺して生地のシワを伸ばします。
染める柄色に合わせて染料を混ぜ合わせて調色します。
水に混ぜる糊を作ります。
糊と水を混ぜ合わせます。作る柄によって糊の配合を調整します。
出来上がった水を水槽に入れて均一になるように混ぜます。
スプレーガンに染料を入れて、染料を滴下します。
水面に浮いた染料を空気や道具で動かして柄をつくります。
生地の両端を二人で持ち、水面につけて柄を映し取ります。
染色した生地の余分な染料や糊を水で洗い流します。
工場内に吊るして、 1 日自然乾燥させます。その後、蒸し水洗いして一反の着物が仕上がります。
このつくりてが関わっているプロジェクト
伝統技法で染められた生地を使って洋服をオーダーしませんか？