《おおさか講座》 レポート(第4回)


錢屋塾おおさか講座とは
「錢屋塾 おおさか講座」は、大阪人が大阪の良さを再認識し、
自信と誇りをもって内外に大阪を語れるようになることを目指します。
歴史的にも文化的にも価値ある要素がたくさん埋もれている上町台地を中心に大阪全体を、
あたかも埋蔵資源を発掘すように掘り起こし、再発見、再確認しましょう。
元々あるものの価値に気づき、それを今とこれからに生かしていく提案をしてまいります。

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第4回 (2020.2.8)
おおさかってなに?
~混じりあう大阪文化~

大阪ガス株式会社 エネルギー・文化研究所顧問 池永 寛明氏

日本最古の1つといわれる神社の歴史から、大大阪時代を支えた文化人たちの足跡から、江戸時代の知恵ある暮らしから、大阪のポテンシャルを3回にわたって再確認してきた「錢屋塾 おおさか講座」。今回は、改めて「大阪とは?」を問い直す特別講座として来るべき大阪万博に向けた発信源となりうる大阪の魅力を、池永先生の解説で見つめ直しました。

まず取り上げられたのはイメージ問題。例えば、大阪人に大阪の“におい”を問えば御堂筋の並木道を思わせる「緑の香り」との答えが返るのに対し、大阪以外の人が挙げるのはお好み焼きなどのソースの匂い。同じように色や音、触と味に関する意識についても内と外では大きなギャップがあったのですが、こうした押し付けられた“大阪らしさ”は、日本が東京一極集中へと舵を切る際に意図的に作られていったものだったといいます。

しかし、大阪の誤ったイメージが現在にまで引きずられているのは、大阪人自身に問題があると池永先生は力説します。1960年代以降の出来事や大阪を舞台とした事件が、“派手で下品で幼稚な大阪像”の醸成に拍車をかけたとはいえ、間違いを正す努力をせず、「ほっといた」ことが一番の要因といえるからです。

ところが、訪日外国人たちの目に映る大阪はまったくの別物だそう。世界に評価される日本的ミニマリズムが生まれ育まれた土地として、憧れをもって受け取られているというのです。

古都・奈良や千年の都の京都ではなく、彼らが日本文化の本質を大阪に見るのはなぜなのか。池永先生はその理由を、華美を嫌った商人の町ならではの「こうと」文化に求めます。地味で質素だけれど上品。天王寺七坂の景観などに今も息づくこの独特の美意識に世界が共感を寄せている――。思わぬ事実に静かな興奮がもたらされました。

しかも大阪はウィーン、メルボルンに続いて「世界で最も住みやすい都市/英誌『エコノミスト』2018年)第3位に選ばれたというから、世界からの評価がいかばかりかは明白。意外に感じてしまいますが、池永先生の解説を聞けば納得のはず。ベストテンに選ばれた都市には「混じりあう」という共通項が横たわっているのです。

例えば、時間の混じりあい。お伊勢参り後に大坂城や四天王寺をめぐり、天満青物市場でウインドーショッピングを楽しみ、あみだ池で人形浄瑠璃を見物、大坂料理に舌鼓をうったという“大坂満喫の旅行記”などを紐解けば、江戸時代の人々を魅了した観光スポットや文化が確かに継承されており、過去と現在とが混じりあう様を実感することができます。大阪ことばもその1つ。御所ことばに影響を受けた伏見ことばや堺ことば、平野ことばが混じりあって豊かな表現が形成されたといいます。

かつて日本有数の観光都市として知られ、世界から注目され続ける大阪。この本来の姿に一番気づいていないのは実は大阪人自身かもしれません。2020年代を万博イヤーにするために必要なこととは、何をもって万博の成功とするのかなど盛り上がる意見交換の末に、まずは私たち自身が“大阪に対する誇りを回復する”べきだと、全員が心を1つにすることとなりました。

大阪人が大阪の良さを再認識し、自信と誇りをもって内外に大阪を発信できるようになることを目指します。
一緒に考え、学び明日からに活かしましょう!

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