《ZENIYA’s ネイバーさん》
ルトランジェ治美さん 2022.10月号より
共通の価値観で繋がる心の距離のご近所さん。見つめ直した価値観と共に、人の暮らしをご紹介します。
「繋がるご縁を大切にする」
ルトランジェ治美さん
錢屋本舗本館と共通の価値観で繋がる心のご近所、“ZENIYA’sネイバーさん”。
今回はルトランジェ治美さんです。治美さんは蝶ネクタイブランド『UTAI(ウタイ)』のディレクションをされており、錢屋ギャラリーでこれまで数回、販売会を開催して下さっています。治美さんとはイベントの内容について語り合うことはあっても、なかなかパーソナルな部分に触れることがなかったため、この機会はとても楽しみでした。
まず、なぜUTAIを始められたのか。それは能楽の謡の稽古時に先生が着ている紋付き袴の十文字を見て、着物生地の蝶ネクタイを思いついたから。「流れに身を任せてきましたから」とブランドの立ち上げについても謙遜されますが、思いの種から行動に移す強さは治美さんの魅力のひとつです。UTAIの素材には、古くは明治大正の日本の手仕事で作られた帯地や、ヴィンテージや現代の着物用の絹素材を活用。包装用の桐箱は端材で作られていて、蝶ネクタイの保管ケースとして使えるのでゴミになりません。それは、治美さんにとっては自然な選択肢。あえて主張されないところも治美さんらしさを感じます。
フランスの方と結婚され、その地に足を運ぶたびに、他人の目や流行りを気にせず自分の好きなものを選んで長く大切に使う暮らしぶりに触れて、暮らしに対する意識も変わってきたと言います。環境のことを考えるのも、“意識が高い人だけ” ではなく、生活する人たちの大半が “当たり前” のこととして捉えている。衣・食・住において、誰もが自分の頭で考え、小さくても未来のためにできることをする。そんな話題や行動が治美さんの周りでは日常です。
そんなこともあってでしょうか。治美さんとお会いすると、いつも芯のあるスタイルにあふれて、とても憧れます。お会いした日にお持ちのカバンも約30年前に一目ぼれして買われた革のかばん。柔らかく育っており、当時、このカバンを買おうと心に決めたことも、こんなに育つまで持ち続けることも、それはもう、かっこよすぎでした。「洋服もそんなに買い足さないし、家具も家電も驚くほど長く使っています。そんな普通なことしかやっていません」。
これからどんな暮らしをしたいかをお聞きすると、「自分の感覚を大切に暮らしていきたい。とにかく私は周りの方に恵まれてラッキーなんです」。今日まで、人とのご縁が線のように繋がり、人生を積み重ねている治美さん。#共感できる人とつながる シアワセを私たちも改めて感じました。(文・中島)
【Profile】
1967年大阪生まれ。広告代理店、美術画廊、フランス雑貨の輸入販売に従事。近年は着物の絹素材の蝶ネクタイUTAI の製作、ラギオールナイフの販促に携わる。趣味は旅と食。訳書に『ダライ・ラマこころの自伝』
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UTAIの商品を錢屋商店にて販売中です。
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