《ゼニヤのキホン》 2022.11月号より

コロナ禍を経て次の段階へ

 錢屋本舗本館のWebサイトをリニューアルいたします。11/13が創業記念日で、それに合わせようとしましたが日曜日のために11/14となります。実際の創業日は調べてみましたら日曜日でした。以前に「錢屋の110年」で書きましたが、創業者は創業からの1年間、元日以外は休みなく働いたようです。今年で112周年を迎えます。
 今回のリニューアルはコロナの渦中で改めて考え直したことを形にしたようなものです。思えばこの「月刊 ZENIYA&LIFE」は、コロナ禍が始まったばかりの頃、世の中もそうだったかもしれませんが会社として何をどうして良いのか分からず混乱した時に、自分たちを見つめ直すための社内の壁新聞のようなつもりでつくり始めました。         
 地域のコミュニティを目指した錢屋本舗本館にとって人が集まってはいけない状況には誰もが困惑しましたが、社内には不思議と悲壮感はありませんでした。そこで早々に「いつかコロナが終息しても元には戻らないつもりで、どんな状況でも変わらない自分たちの価値を見つめ直し発信し続けよう」と宣言しました。

心の距離のご近所さん

8月号の「ZENIYA’sネイバーさん」に詳しく書きましたが、私は縁あってダライ・ラマ法王が亡命され、インドで成立したチベット中央政権の支援をしています。コロナ前は毎年のようにインドにあるチベット寺院を訪ねて仏教を学んでいました。そこで知り合った僧侶が、世界中で行動制限されていた時期にSNSを通じて頻繁にメッセージをくれました。今生での悟りを目指す修行者で本来ならば私に構っている時間などありませんので申し訳なくも思いました。日本は医療体制も整っていて感染者数もインドに比べればはるかに少なかったですし、お釈迦様の時代からずっと続くサンガという集団生活をしている方々ですから、むしろ心配でそのことを伝えましたが、何度も私を気づかってくれました。
 その時に「心の距離の近さ」に気が付きました。仏教者としてのレベルは違いますが、教えを通じ互いを思いやる気持ちが一致し、実際の距離は遠くとも心の距離は近いのだと感じました。
 地域のコミュニティといっても、前を通り過ぎる方もいらっしゃれば、わざわざ遠方からでも来て下さる方もいらっしゃいます。これは共通の価値観とも言える何かで繋がっているのだと思いました。
 新しいWebサイトからは、この期間に見つめ直した錢屋本舗本館の価値観を新しい生活の提案と共に発信していこうと思います。
 錢屋本舗本館は、心の距離のご近所さんのコミュニティを目指します。(文・正木)