《ゼニヤのキホン》 2021.5月号より

そもそも錢屋カフヱーとは?

 なんでも目まぐるしく変わるのが当たり前のように思われますが、だからこそ時々「そもそも目指したもの」を振り返り「本来のあるべき姿」を確認することは大切だと思います。

 錢屋カフヱーは、そもそも錢屋本舗本館とこの町との接点として、外と内を緩やかにつなぐ家の縁側のような役割を果たすものとしてつくりました。

 錢屋本舗は食品を商う商社です。築50年を過ぎた社屋(錢屋本舗本館)の改築を考えた際に、1階に事務所がある必要はなく、むしろ町に対して開かれた場所にしようと考えて人が集まりやすいカフェとギャラリーを計画しました。細かい経緯は色々とあるのですが、その話は別の機会に譲るとします。

 そもそも食を通じて喜びを伝えることが錢屋本舗の創業からの目的ですから、それを直接お届けできる場所をつくり、喜びを共有できる地域のコミュニティを目指しました。

 錢屋カフヱーも6年目を迎えましたがオープン当初は会社のエントランス脇に突然できたカフェにお客様も、会社の来訪者も戸惑われたようでした。でも、そもそも縁側に腰かけてお茶を飲んでお話でもしてもらうようなイメージで町との接点を持ちたかったのだと理解してくださるなら、その意味をご納得いただけるのではないでしょうか。

 コロナ禍では価値観の転換が求められたと思います。食を中心に喜びの輪を広げていくことに変わりはありませんが、これからはもう少し生活全般に範囲を広げ、暮らしや働き方の提案をしていきたいと考えています。

 錢屋塾には様々なジャンルの専門知識や技術を持った講師の方々がいらっしゃいます。これらの方々とコラボレーションをして、ちょっとしたことをちゃんとやって、ちょっと以上の何かが得られるように、普通の暮らしの中の豊かな時間の過ごし方を提案していきたいと思います。