《ゼニヤのキホン》 2021.2月号より

錢屋カフヱーと移ろいゆく花

錢屋カフヱーの空間は、四季折々の自然で衣装をまとうような気持ちでありたいと思っております。

 2015年オープン当初から毎週市場で出会った花たちを生け続け、5年の月日の中でたくさんの花たちと触れ合ってきました。時折忘れてしまう季節の移ろいを、花を愛でて感じることが何度あったでしょうか。切り花、枝もの、時には根のついた花もありました。店内を引き立てる花はもてなしの心も加えておりますが、わたしたちの心にも優しい気持ちを添えてくれるのです。

 飾っているのは華々しいものばかりではありません。ずっとそこにいたかのように同化し何気なく存在している草花たちもいます。しかし自然の力とはすごいもので、生命力がある草花たちは癒しを注いでくれます。そんな毎週変化する花たちに一緒にときめいてくださりSNSでメッセージ下さるお客様も。大変嬉しく思います。

 花をいつもコーディネートしてくれるスタッフに話を聞くと、市場で〝目が合った子(花)を連れて帰ってくる〞というのです。もちろん、その先にはお客様に楽しみや喜びを感じてほしいという想いが重なっています。花も生き物です。心も生きています。その時の直感を大切にし、『いまこそカフェに飾りたい花』をディスプレイしています。

 これからどんな花と時間を過ごせるのか、はじめての出会いも再会も楽しみです。