《ゼニヤのキホン》 2021.1月号より

錢屋カフヱーとあんこもん

錢屋カフヱーでは年間を通じて餡ものを提供しています。冬はぜんざいです。珈琲と餡は相性も良いのですが、そもそも錢屋本舗で小豆を炊くのは正月の鏡開きと関連する由来があります。

 若い方々には馴染みが薄いかも知れませんが、正月に神様に供えた餅をお下がりとして頂くための儀式が鏡開きです。餅を刃物で切るのは縁起が悪いとされ、 「開く」という言葉が使われたようです。これは忌み言葉と言って「切る」以外にも結婚披露宴などの「終わり」も「お開き」と言ったりします。鏡餅と一緒に飾る場合もある「するめ」も(お金を)擦る、擦り減るを連想するので逆の意味で「あたり(当たり)め」と言ったりします。

 この開いたお餅を頂くために前社長、正木陽次が大鍋で小豆を炊いてぜんざいにして、社員や商談に訪れた方々に振舞っていました。それがなかなかの評判で皆が楽しみにするようになりました。

 ぜんざいは善哉と書きます。これは善き哉とも読め、仏が弟子を褒めるときの「素晴らしい」といった意味のサンスクリット語の漢訳が由来という説があります。錢屋カフヱーでお出しする「錢屋のおぜんざい」は今でも陽次が炊いています。まず一晩は水にかします。 「かす」は浸すと書き、方言だそうですが大阪では普通に使われます。十分に水を含ませた北海道産とよみ大納言を煮立てないようにしながら火を通し、次第に温度を上げながら灰汁をしっかり取り除きます。1時間半程この作業を繰り返し、次の1時間くらいは温度を下げ上げしながら豆の膨らみ具合を見たり、指で潰したりしながら餡粒子を確認します。そこで砂糖を入れます。砂糖は甜菜糖ときび糖の粗糖を使います。どちらもミネラル豊富で、甜菜糖はオリゴ糖が含まれさっぱりした甘味が特徴。砂糖と塩を入れたら軽くひと煮立ちさせて火を止め一晩寝かせます。甘味を冷ましながらゆっくりと素材に馴染ませます。翌日、火を入れ直して塩梅を確認して必要なら整え、更にもう一晩寝かせ、翌日に落ち着きを確認して完成です。

錢屋カフヱーのあんこもん。決め手はさらりとした甘さに落ち着きがあることです。