UEMACHI & LIFE 2025.5月号


津田恵則さん・艶子さん
津の長商店 店主

10年前と今とで、この町は何が良くなって何が悪くなったか。
そして10年後は?暮らす、働く、楽しむ、学ぶ、育てる、育つ、老いを迎える…。
この町を行き交うさまざまな人が、それぞれの思いで描く10年後の寄せ書きです。


お酒を愛でる人のために上本町玄関口の〝角打ち〟

「私の曾祖父の時代に、醤油の製造を始めました。石ヶ辻町には昭和9年から住んでおり、戦後の昭和23年から、私の父がここで酒販店を始め、醤油も販売していた…ということを過去帳で調べました。さすがに覚えていなくて(笑)」(艶子さん)

「私は昭和51年に結婚してから上本町へ来ました。その頃はすでに酒屋一本でしたね。妻の両親が元気だったので、私は道修町の製薬会社でサラリーマンを続けてきました。定年になった11年前に、昔から営んでいた”角打ち”を手伝うようになったんですけど、ほとんどがサラリーマンのお客さんなので話の中身は大体わかります(笑)」(恵則さん)

「上本町はきれいになりました。昔は上町筋の向こうはドヤ街で、道を渡るのが怖かったんですが、ハイハイタウンや新歌舞伎座ができて、今はマンションもたくさん建って、随分変わりました。でも、相変わらず東側は静かで、住みやすいですよ。文教地区であるのも昔から変わらず、私が通っていた五条小学校が人気なのは嬉しいです」(艶子さん)

「お客さんはご近所だけでなく近鉄沿線の方が多いです。ご夫婦やご家族で来てくれる方もいて代替わりもあります。いろいろ個性はありますが、とにかくうちのお客さんは上品。酔っ払いや大声を出す人がいなくて、みんなで仲良く、上手に飲んでくれます。それが嬉しいし、続けられる理由ですね。

最近人気なのは、やっぱりハイボール。角のウイスキーを、なつかしいと言われる瓶の炭酸で割っています。一時期、炭酸水が不足して他のメーカーに変えたら、”やっぱりリボン炭酸がおいしい”と言われました。おつまみの人気は、温めて出すと美味しい缶詰。別寅のちくわも人気ですよ。うちの店はお酒を飲むことが主なお客さんが多いので、おつまみはかわきもの主体で喜んでもらえています。

先祖が守ってきた店やから、私たちもできるだけ守っていきたいと思っているんですけど、もうええ年ですから、このままのスタイルでゆっくりいこうと思っています。この店を楽しみに来て下さるお客さんのためにも、これからも誠実に対応していきたいですね」(恵則さん)