UEMACHI & LIFE 2022.7月号

秋田 光哉さん
光聖寺 住職
社会福祉法人 光聖会 理事長
蓮美幼児学園 学園長

10年前と今とで、この町は何が良くなって何が悪くなったか。
そして10年後は?暮らす、働く、楽しむ、学ぶ、育てる、育つ、老いを迎える…。
この町を行き交うさまざまな人が、それぞれの思いで描く10年後の寄せ書きです。


じっくりと腰を据えて発信すれば
さらに魅力のある上本町に

 私はパドマ幼稚園がある浄土宗の大蓮寺の次男坊で、享保4年(1719年)に創建された光聖寺に迎えていただき、第12世になります。

平成5年にお寺を8階建てのビルにしたのち、パドマ幼稚園内の幼児教室を移していただき、体操や英語の習い事教室を始めました。

その後、認可外保育をスタートさせ、平成17年に社会福祉法人光聖会を設立以降は、認可保育園、認定こども園、幼児スクールなどを全国38ヵ所で運営しています。

 本園の理念は、仏教の三宝の教え「仏・法・僧」にある「優しく、正しく、仲良く」。

自分だけ良ければいいのではなく、みんなで分かち合う心を広めることを大切にしています。

仏教保育で大事なことは、自分が尊敬する先生が手をあわせる姿を見せる率先模範。
乳幼児期も本物を与えることで、子供達は成長していくのです。

 また、母体である光聖寺別院日想院ではビルの上の納骨堂で、13回忌までお預かりしたあとは永代供養に入っていただくシステムを作り、皆様にご利用いただいています。

その意味でうちは、〝ゆりかごから墓場まで〞。
人生に幅広くかかわり、お世話をさせてもらっています。

 私は下寺町生まれですから、やはりこの界隈に愛着があります。

昔、イタリアのフィレンツェに行った際、石畳やドーモがある町の雰囲気が、寺町であるこの界隈に通じると感動しました。

聖徳太子が西方浄土に手を合わせた日想観の景色も、特に高所から見ると素晴らしい。
四天王寺を中心にお寺が並ぶ街並みも、大阪らしさにあふれています。
歴史的にも非常に意味のある地域です。

 今後は、社会福祉法人として足跡が残せたらという思いから、障がいのある方の就労移行支援等に興味を持っています。

新たな挑戦もやはりこの町から。
誰もが住み良いながら、刺激も与えてくれる町ですから、何年たっても皆さんが笑顔で過ごせ、お互いが尊重できる町でありたいですね。

今あるものを大切に、損得勘定なしでリノベーションしていってほしいと思います。
(取材・山田)