UEMACHI & LIFE 2022.6月号

中谷 哲哉さん
なかたに亭

10年前と今とで、この町は何が良くなって何が悪くなったか。
そして10年後は?暮らす、働く、楽しむ、学ぶ、育てる、育つ、老いを迎える…。
この町を行き交うさまざまな人が、それぞれの思いで描く10年後の寄せ書きです。


じっくりと腰を据えて発信すれば
さらに魅力のある上本町に

 私の上本町の記憶は50年くらい昔の小学生の頃まで遡ります。
当時はレトロな百貨店がある近鉄電車のターミナル駅で、映画「3丁目の夕日」の様な風景が浮かんできます。

高校3年間は上本町を経由して通いました。
ダウンタウンから通学していた私にはお洒落で上品な街に見えました。
その時の経験で街の雰囲気や土地柄はわかっていました。
そんなご縁もあって、なかたに亭は1987年上本町にオープンする事になりました。

 開店当初は店の前が近鉄劇場の楽屋入口で、俳優の方達が休憩に来られたり、誕生日ケーキをお届けしたりもしました。

演目が終わると店内が一気に満席になる事もありました。
その後、駅周辺にはマンションが多数建設され人口も増えました。上本町YUFURAと新歌舞伎座が出来て華やかになりました。

 上本町は長い歴史と文化的な雰囲気を持ち、百貨店、劇場もあり、周りは住宅地で文教地区。
他に例を見ないコンパクトで魅力のある街だと思います。

高校時代に通っていたお店の中の何軒かは世代が変わって、今もお客様に愛されて繁盛しています。

目先にこだわらず、じっくりと腰を据えて発信していけば、地元以外からもお客様がお越しになって、さらに魅力のある街になっていくのではと思います。

 そしてもうすでに素晴らしいお店が集まり始めている気がします。