UEMACHI & LIFE 2021.10月号

宮内 広道さん
新中国料理 黄龍

10年前と今とで、この町は何が良くなって何が悪くなったか。
そして10年後は?暮らす、働く、楽しむ、学ぶ、育てる、育つ、老いを迎える…。
この町を行き交うさまざまな人が、それぞれの思いで描く10年後の寄せ書きです。


紡ぎ続けたい 
上本町の〈心粋〉

上本町で店を構えてから五〜六年が経ちました。
それ以前は別の地区で数年を過ごしていましたが、心機一転したくこの町へ移って参った次第です。

私は大阪の出身ではないため、からっきし土地勘がありません。
故にどのような町なのかを知ることから始めました。

上本町を見ていくにつれて老舗の企業が多く歴史が深いこと、教育施設に富んでおり勉学やスポーツに励む子どもたちであふれる文教地区ということなどから気品高く活気に満ちた土地であると感じさせられました。

私もこの素晴らしい街で腰を据えて料理を作りたい、そんな想いで店を開きました。

幸いなことに地元の方々にも多くご来店いただいておりますが、その多種多様なお客様と接していくなかで日々人として勉強させていただくことがとても多いように思います。

人徳に恵まれた町という印象を強く持ちますね。
店を当初の想いと等しく、構築と積み重ねができているのも地元の皆さまによる心意気から成るものなのかなと感じます。

特にそれらを考えさせられたのはやはり昨年。
新型コロナウイルス蔓延による四月の緊急事態宣言発令以降のことです。
世の中は暗いムードに包まれ、私自身も事案に苛まれました。

しかし、そんな厳しいときでもこの町の人々は前向きでした。
手を取り、支え合いながら進み続ける強い活力を見せつけていただいたように思います。
その力強さには救われましたし、今も励まされています。

この町は成長し続けています。
未来永劫、この上本町人の〝心粋〞も紡ぎ続けていけるように願いながら共に歩んでいきたいですね。