《錢屋カフヱー 錢屋マルシェ》 2026.3月号より

「錢屋プリン」錢屋プリンと過ごす時間

錢屋カフヱーの看板とも言えるデザート『錢屋プリン』。一番定番の商品ですが、『Discover錢屋』というテーマのもと、改めて味わってみたいと思いました。スプーンを入れると、クラシックで固めの手応え。「あ、この感じ」と、思わず頬がゆるみます。ひと口食べると、どこか安心する味わい。甘さは控えめで、卵と牛乳の風味がまっすぐ伝わってきます。そこに重なる濃いめのカラメルのほろ苦さが、プリンのやさしいまろやかさを引き立て、ひと口ごとに味わいの輪郭がくっきりしていきます。

近年、〝固めプリン〞と呼ばれる昭和レトロな食感のプリンが再び注目されていますが、理由がわかる気がしました。忙しい毎日の中で、〝ゆっくりと味わう〞という行為そのものが、少し贅沢になっているのかもしれません。コーヒーをひと口飲みながら、〝急がなくていい〞と思える、この余白。錢屋プリンは、私にとってただのデザートではなく、ここで過ごす時間そのものを、豊かにしてくれる存在です。(文・下田)