《ゼニヤのキホン》 2022.12月号より

心の距離のご近所さん

 前号で錢屋本舗本館のWebサイトのリニューアルをお伝えしました。人が集まれる場や機会をつくりだすことが地域のコミュニティとしての当館のあり方ですが、人が集まれないコロナ禍を経て、より心の距離の近さを意識したものへと変更したその背景を、お話しさせて頂きました。今号はその続きで、もう少し具体的に説明をいたします。

「心の距離の近さ」は価値観を共にできることだと考え、この月刊ZENIYA & LIFE の最後のページの「ゼニヤの内」のコーナーで発信してきたのが、その価値観の部分です。新サイトのトップページでは、この価値観のタイル(四角い囲みのことです)が、イベントや講座の紹介と並んで短いメッセージとしてご覧頂けます。  なかには抽象的な言葉もありますが、本質的なこと、本当に大切なことは抽象的でないと表現できないことも多いと思います。最近はわかりにくいことが悪とされ、わかりにくさが表現者の責任にされることがあります。「プレゼン」なんて言葉が当たり前に使われるようになってから、この傾向は続いています。ちなみにプレゼンはプレゼンテーション(表現、提示)の略で、このプレゼン能力を高めようという傾向は職場だけでなく学校教育でも強いようです。それは良いのですが、一方で読解力の低下が著しく、想像力も乏しくなってきている気がしています。私はそのことの方が問題として根深いと感じていますが、年寄りの愚痴のようですみません…、話を戻します。

抽象を具象化し生活に

 メッセージそのものが、心に響くかどうかは人それぞれでしょう。何か引っかかったならば、そのメッセージタイルをクリックして頂けたら、短いエッセイやイラストなどに繋がります。それにピンときたり、「なるほど!」と共感されたならば、そのメッセージに関連した講座やイベント、あるいは商品の案内へと繋がるようになっていて、その価値観に根ざしたモノやコト(体験)を通じて生活に取り入れて頂こうとの意図をもった構成になっています。

 他にも、タイルには「ZENIYA’ sネイバーさん」の紹介もあります。共感できるだけでなく、まさに共通の価値観を生活の中で実践しておられるような方々を、心の距離のご近所さんとしてご紹介しています。もっとも、理屈はともかく、この月刊ZENIYA & LIFE の読者で、どこかしらを気に入って当館を何度もご利用して下さる方々のことでもあります。(文・正木)