《ゼニヤのホンキ》 2026.10月号より

暮らしの中に、美しいものを

花びらの一枚一枚、葉の重なり、動物たちの表情。近くで見るほど、その緻密さに目を奪われます。専用の粘土から生まれる梅谷茉汀先生のデコクレイアートは、繊細で愛らしいだけではありません。一つひとつの作品が凛とした存在感を持ち、空間に置かれた瞬間、そこに強い印象を残します。

季節の花々や植物、愛らしい動物たち、そして日本の四季や行事を感じさせる作品、十二支の作品など。暮らしの中に取り入れたくなるモチーフでありながら、細部まで丁寧につくり込まれた作品には、梅谷先生自身の揺るぎない美意識と、確かな技術が宿っています。粘土ならではの質感を生かしながら生み出される、豊かな表現力に、思わず足を止め、じっくりと眺めたくなります。この秋、錢屋本舗本館では梅谷先生の世界を存分に感じていただける作品展を開催します。

今回のテーマは、『観る・作る・味わう』。

作品をじっくりと『観る』。ワークショップで実際に粘土に触れ、『作る』。そして、作品に囲まれた空間で食を『味わう』。ただ鑑賞するだけではなく、五感を通して芸術に触れる時間です。錢屋本舗本館が大切にしているのは、いつもの暮らしの中に、美しいものや心が動く瞬間を届けること。美しい花を一輪飾ること。季節の料理を楽しむこと。心惹かれるものを身近に置くこと。そんな小さな積み重ねが、日々の時間を豊かにしてくれると考えています。梅谷先生の作品は、暮らしに寄り添いながらも、決して埋もれることのない強さを持っています。

この秋、錢屋本舗本館で出会う、粘土から生まれた美しい世界。作品を観て、手を動かして、味わう。季節を感じながら、いつもの一日が少し特別になるような時間を、ぜひお楽しみください。(文・宮田)