《ゼニヤのホンキ》 2026.5月号より
美味しいが生み出す笑顔を
甘いものは人を幸せにする――そんな言葉を、これまで何度も耳にしてきました。どんなにしんどいことがあっても甘いものを食べれば自然と笑顔になる。例えば喧嘩をしてしまっても、一緒に甘いものを囲めば、そこには笑顔が咲く。自分が作ったスイーツで”美味しい”と言ってもらえる喜びが、何よりの幸せだと気づき私は、製菓の道を選びました。
錢屋カフヱーには、そんな私の思いを形にする環境があります。試作を重ね、焼き菓子やイベント時期には期間限定商品を出し、去年のクリスマスには一から手掛けた錢屋のクリスマスケーキをお届けしました。
商品開発で大切にしているのは、複雑さでなく”シンプルだけど、また食べたくなる味”です。主張しすぎない素朴さが、ケーキを囲む時間をやさしく彩り、友人や恋人、大切な人とのひとときを包んでくれる、そんな味を意識しています。
ただの作業になることなく、疑問を持ちながらスイーツを仕込むことで、さまざまな気づきがあり、慣れた仕込みもワクワク感を持てます。それがスイーツに込められ、さらに美味しくなるスパイスに、次の商品開発へのヒントに繋がると思っています。
また読み返したくなる味。”人を、一冊の本に譬える”とある本の一説です。「大抵の人は読み返そうとは思わない。だけどたまに読み返したいと思う人がいる」、この文に触れた時、読み返したくなるほどのスイーツを作りたいと思いました。慌ただしい日常の中で訪れる、ささやかな非日常を届けられるように。お客様がいてこそ成り立つ仕事。その中でいただく「美味しかった」の一言が、次の”美味しい”を生み出す原動力です。錢屋カフヱーのスイーツが、あなたの心の拠り所となりますように。(文・岡田采)

