《錢屋カフヱー カフェタイム》 2023.5月号より

ノスタルジックで可愛らしい焼き菓子

錢屋カフヱーのスイーツは、派手さはあまりないかもしれませんが「素朴さ」「小さいころにお母さんがつくってくれた」、そんな懐かしい味わいをお届けしています。

今回は、その中でも皆様におすすめしたい、コーヒーはもちろん紅茶とも相性の良い定番の焼き菓子カイザークグロフ、マドレーヌ、フロランタンをご紹介いたします。

カイザークグロフは刻んだチョコレートとクルミがゴロゴロと贅沢に入った、リッチなバターケーキ。カイザーとはドイツ語で「皇帝」のこと。マリー・アントワネットがオーストリアから嫁入りの際に持ち込んだという説もあり、村の結婚式や洗礼式といったハレの日に食べていました。

可愛らしいシェル型で焼き上げたマドレーヌは、ほんのりレモンが香る、軽くさわやかな味わい。マドレーヌの最も特徴的な点は、ホタテの貝殻に見立てた焼き型を使って焼き上げられていること。その昔、はるばる聖地へ崇拝に向かう人はホタテ貝の貝殻をお守り代わりに持って行っていたそうです。ホタテ貝には「再生」「豊穣」という意味があるそうで、幸運を運ぶ焼き菓子ということになります。

フロランタンの名前は「フィレンツェのお菓子」から由来しています。びっしりと敷き詰められたキャラメリゼしたアーモンドは、コーヒーに合うようちょっぴり苦めに仕上げました。小気味良いサブレのサクサクとした食感もアクセントになっていて、口に運ぶ手が止まりません。

幸せなひとときのお供になれるよう、日々スタッフが心を込めて丁寧に手作りしております。ぜひご賞味くださいませ。(文・伊藤)