《錢屋カフヱー カフェタイム》 2023.1月号より

錢屋カフヱー冬の風物詩 練炭火鉢

新しい年が始まりました。

錢屋カフヱ―の扉をあけると鉄枠のついた大きな鉢が目に入ります。年季が入ったヤカンからは、しゅんしゅんと湯気が沸きあがっており、覗き込んだお客様は、「わぁ懐かしい!」とまるで古い友人に会ったよう。毎年冬になると見られる「練炭火鉢」のある光景です。火を囲みながら、心までもぽかぽかあったまります。

現代の私たちの暮らしでは、接する機会が少なくなった練炭火鉢。今もなお人気があるそうです。それは懐かしさの先にある大切なもの。「愛情」や「ぬくもり」をあたえてくれる癒しの存在だからではないでしょうか。

なければ自分で創りだす

不思議な存在感を放っている錢屋カフヱーの練炭火鉢の鉄の枠ですが、実は「なければ創りだせばよい」の発想で生まれた特注品なのですよ。表面に黒皮と呼ばれる黒色の酸化皮膜を持った鉄材でできています。

ほのかに青く光るような黒色と、手触り、素材感に味わいがあり、カフェの雰囲気に美しく調和しています。古いものを活かしつつ新しいものを取り入れ融合させる。時代が移り変わっても、大切に後世に継承すべき「つなぎたい心」の極みがこの練炭火鉢にあるように思うのです。

食を通じて皆様にたくさんの喜びを伝えることが、私たち錢屋本舗の創業からの目的。カフェに漂う練炭の燃える匂いを感じながら、創業者の精神に想いを馳せます。「この冬も錢屋カフヱーでのあたたかい物語をみなさまと作っていこう」。

2023年もどうぞよろしくお願いします。(文:伊藤)