《ゼニヤのホンキ》 2022.3月号より
『想いをのせたインクを世界へ』
昨年7月に開催しました『世界の万年筆で、自分と向き合う時間を楽しむ』。錢屋ギャラリーにはイタリア、ドイツ、台湾、世界各国の万年筆やボールペンが並びました。職人の魂ともいえるその個性は細部にまで至ります。
展示販売会の時に感じましたのは、万年筆の相棒ともいえる「インク」に興味を持たれる方が多いということ。詳しく見てみると面白いのが、色名は同じだけれどブランドによってその色彩が異なることです。
ブルーブラックを探しても、各ブランドから発売されていますので、それぞれの「ブルーブラック」を提案されています。だからこそ試していただきお好みの色と出会ってほしいと願うのです。
Jetsetter株式会社は様々なブランドを取り扱われていますが、その中で台湾の藍濃道具屋(レンノンツーシュウシェウェイライルバー)の協力のもと『書寫未來』(未来のために、書く)というインク・コレクションをプロデュースされています。そこには日本の子どもたちの精神幸福度が低いという事実に衝撃を受け、代の多感な時に様々な人と出会い、語り、悩み、学び、たとえば、「こんな風になりたい」という憧れを見つけてほしいという想いが込められています。
ではどうすれば、そんな子どもたちを増やすことができるのか。それは大人である自分たちがまずは好きなことを楽しむことで、ボランティアとは異なるアプローチで子どもたちの未来をサポートできるのではないかと考えられ、第一弾は「未来」と名付けたオリジナル・グリーンのインクを制作されました。売り上げの一部は認定NPO法人カタリバの活動に寄付されています。
万年筆のインクは多様な色を表現するだけでなく、そのようなストーリーが込められたものもあります。
3月の展示販売会では、Jetsetter株式会社にプロデュースを依頼した錢屋本舗本館オリジナルインク「藏藏」も並びます。未来への想いも込めて、わたしたちらしいインクをお届けできたらと思います。(文・中島)