zeniya&life2107

《錢屋の110年》 2021.7月号より

再び、要不要を見極めること

断捨離という言葉が流行って久しいですが、要は要らないものを見極めて捨てれば新たに要るものが手に入るという考え方のようです。その手に入るものは物というよりは静かな時間といった精神的なものと考える向きもあって面白いと思います。前回、錢屋本舗でも今に至る過去に何度か要不要を見極めながら変革してきた経緯を書かせて頂きました。ふと思ったのですが直近でそのことを考えるきっかけになったのは、まさにこの「月刊ZENIYA&LIFE」の発刊でした。

「月刊ZENIYA&LIFE」発刊

昨年の4月頃、始まった頃はいつか終わるだろうくらいに思っていたコロナ禍がどうも収まりそうもないと感じ始めました。当初から「コロナ凌ぎはしない、コロナ後もそのまま通用する形に会社の取り組み変えていく」と社内では宣言し、やる事がなくなったことでむしろ考える時間が生まれ、社内の雰囲気がとても良くなりました。不安を感じながら皆が互いを必要と感じ合えたのかも知れません。その時に「皆で壁新聞をつくろう」と思いました。そうです、当初は壁新聞と言っていました。
それまでは錢屋塾や錢屋寄席のチラシを何種類も作っていましたから、これらをひとつにまとめた社外向けの広報物として5月から準備を進めました。同時に社内では「もっとお互いを知るためにつくる」という目的を持っていました。最初のイメージが壁新聞だからです。2カ月の準備期間を経てなんとか7月に発刊にこぎつけたのが「月刊ZENIYA&LIFE」でした。つまり本号は創刊1周年記念号です。

自分たちの価値に気付き、得た自信

1年を振り返り心から良かったと思えることは自分たちのやってきたことを確認しながら、その価値に気付けたことです。既にあるものの価値を誇りに思いました。また、外にあるものを求めるのではなく内にあるものに気付くことで得られる豊かさがあるのだと感じました。更に、その豊かさは競争や努力で勝ち取るようなものではない、穏やかで安心感に包まれた豊かさだと感じました。

確信をもって新たな試みへ

前号で錢屋本舗本館の改修の際に「何を残して何を捨てるか」を吟味し、残そうと思ったものとその理由から「ちょっとしたことをちゃんとやる」「最高の普通を」「大切にしてきたから良い、もの」といったその後(つまり現在)の錢屋本舗本館から発信する基本的な価値観や姿勢を表す言葉が生まれたとお伝えしました。
それに加えてこの「月刊ZENIYA&LIFE」の発行を通じて確信した「既にある価値に気付くことで得られる豊かさ」の穏やかな安心感を、お客様に体験やサービス、商品を通じて実感して頂けるように、これからの暮らしや働き方の提案をしていこうと準備を進めています。
来春頃になるかも知れませんが、錢屋本舗本館のネクストステージにご期待ください。