自分軸ってどこ?

大学生から「ゆらゆらと自分が定まらない」と相談を受けました。迷ったり、人の影響を受けて揺れ動くことが不安なのだそうです。「揺るぎない自分」と聞くと、両足でしっかり立ち、微動だにしない姿を思い描きがちですが、私はそうは考えません。心は揺れ動くものです。大切なのは揺れの幅を自覚し、その真ん中を意識できること。そこに「自分の軸」があると思うのです。周囲も自分自身も変わり続ける以上、揺れは避けられません。むしろその振れ幅こそ個性であり、あるいは時代の空気感でもあります。それを理解しつつ「今」と「これから」、「自分」と「周り」を調和させる感覚が、結果として揺るがぬ自分を形づくります。安定とは、決して「動かないこと」ではありません。複雑な動きを支える体幹のように、変化や行動の中で自分の中心を意識することができれば、たとえ揺れても戻れる安心感が生まれます。その安心感が次なる挑戦の原動力となり、揺るぎない自信につながるのだと思います。(文・正木)