#そもそもを見直す〜文化財と信仰心〜
年始に神社仏閣に詣でた方も多いと思います。「文化財」という言葉は日本で文化や歴史に関わる重要な遺産を保護・保存する必要性が認識される中で生まれました。仏像などは明治期の廃仏毀釈や昭和期の終戦後に多くの遺産が損なわれた背景があり、それらを守る必要性から法整備が進み言葉も定められました。その必要性と重要性に疑問の余地はありませんが、いつのまにか法による保護対象とするために研究成果として「○○時代の…」「著名な仏師による…」等、いわばスペック化によって定義されたモノとして価値を測ろうとしてしまっているような気がして危惧します。財として定義する以上は仕方ないのかも知れませんが信仰の対象として大切にされてきた「そもそもの意味」を見失ってはいけないはずです。 下寺町の西照寺には戦時中に御本尊を池に沈めて戦火から守った逸話があります。信仰心で守った例でしょう。調べてみると日本各地に同様の逸話は数多くあるようです。(文・正木)

