予期せぬことに対処する

若者と話す機会があって驚いたのは、大学に入ったばかりなのに、もう就職の心配をしていることです。「先の見えない」は「未来」を不安視する際の枕詞のようで、コロナ禍においてもよく聞きましたが、まるでそれ以前は見通せていたかのようで無責任だと思っていました。当たり前のことを殊更に言って不安を共有して(皆んな一緒だと)安心を得るという心理は錯覚でしかなく意味はありません。未来がどうなるかは、どうせわからないのです。なのに、未来を予測することに躍起になる人は多い印象です。どこのチームが優勝するか、くらいのことを楽しむならば良いのですが、安心の先取りを求めるような未来予想は要注意だと思います。保険会社の業績は安定していて、学生からは人気の就職先でもあります。保険会社を儲けさせるくらいならば良い方ですが、投資詐欺に遭う遠因はここにあります。  若者には「未来を予測するより、予期せぬことに対処することの方が大切だし、それが求められている」と伝えました。わからないから、決めて良いのだし、そうなるように努力して、その結果に対して責任を取れば良いだけ…だと思います。(文・正木)