《錢屋カフヱー カフェタイム》 2021.12月号より

檸檬の季節

年々、秋を感じられる時が短く、あっという間に冬が訪れるような気がします。
皆さんは今年の紅葉は楽しまれましたか?

そんな季節に錢屋カフヱーで登場するスイーツ、「檸檬のパウンドケーキ」。
カフェオープン当初よりある定番の商品なのですが、ありがたくもファンがとても多く、当店の隠れた人気商品となっています。

ふわっとレモンの爽やかな香りが心地よく、甘酸っぱいアイシングをサクッとフォークで通す瞬間がくせになります。

「レモン」と聞くと、皆さんはどの季節を思い浮かべますか?爽やかなドリンクや、黄色のフレッシュなイメージから、もしかしたら夏を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。
国産レモンの季節は、実は今「冬」なのです。

国産レモンの収穫時期は10月〜3月頃にかけて。
他の柑橘類と本来は変わらないのです。
月頃の秋の檸檬は青く「グリーンレモン」と呼ばれ、もぎたてのフレッシュな酸味が特徴で、香りも強い印象です。
だんだん黄色へと色づいてくると、酸味が少しまろやかになって果汁をたっぷり含んできます。

黄色いレモンはスーパーなどで1年中買うことが出来ますが、夏に出回っているものはほとんどが輸入レモンです。
農薬など防腐剤が使用されているものが多く、皮ごと使用するには少し抵抗があります。

最近では、貯蔵の技術やハウス栽培品も増えてきて、安心安全な国産レモンが夏にも多く入手できるようになってきましたが、錢屋カフヱーでは、本来の旬であるこの季節に、国産の安心安全なレモンを使用し、パウンドケーキを作っています。
香り高いフレッシュな皮も果汁も、贅沢にたっぷり焼き込んでいます。

召し上がったことのない方は、ぜひ一度ご賞味下さいませ♪(文・後藤)

“カクテル”はどこから来たのか

カクテルを広辞苑で引くとこのように説明されています。
〈…洋酒をベースとし、シロップ・果汁・炭酸飲料・香料・氷片などを調合した混成酒。アメリカから始まった。混合酒。コクテール。〉
つまりお酒をいろんなものと混ぜた飲み物で、アメリカ生まれだとわかります。
しかしお酒に何かを混ぜて飲むこと自体は古代から行われていました。

メソポタミアではビールの起源とされるシカルというお酒に蜂蜜や薬草を混ぜて、また古代ギリシャではワインに水を混ぜて飲むことが一般的だったと分かっています。
ではなぜ広辞苑には、アメリカから始まった、と記載されているのでしょうか。
それはカクテルという語が明確に記されたのがアメリカであることから来ているようです。

1806年5月6日、ニューヨーク州ハドソン地区の週刊新聞The Balance and Columbian Repository の紙面に「民主党候補者がcocktailを飲んで選挙戦を頑張って戦っている」と報じています。
カクテルという語は一般的ではなかったようで、翌週日の新聞には読者からの質問に答える形でカクテルの説明をしています。
これが現在テキストで確認されている最古のカクテルです。

では言葉としてのカクテルはどこから来たのでしょうか。
一番有名なのはメキシコの港町カンペチェでの話でしょう。
少年が木の棒で混ぜてミクストドリンクを作っていると、イギリスの船乗りが「それはなんだ?」と尋ねました。
少年は混ぜている棒のことを聞かれていると思い答えます。
「コーラデガジョ(cola de gallo)」。
スペイン語で意味は雄鶏の尻尾。
棒の形状がそれに似ていたことからそう呼んでいたそうです。
それを聞いた船乗りは英語でcocktailと呼び、世界中の港町に広がっていった……というものです。

1つの言葉を追いかけて探してみると、世界を回り歴史を辿り、知らない面白いものに出会えます。
お酒のことならバーテンダーに聞いてみて下さい。(文・宮原)