錢屋本舗本館

錢屋塾 おおさか講座 レポート(第3回)

錢屋塾おおさか講座とは
「錢屋塾 おおさか講座」は、大阪人が大阪の良さを再認識し、
自信と誇りをもって内外に大阪を語れるようになることを目指します。
歴史的にも文化的にも価値ある要素がたくさん埋もれている上町台地を中心に大阪全体を、
あたかも埋蔵資源を発掘すように掘り起こし、再発見、再確認しましょう。
元々あるものの価値に気づき、それを今とこれからに生かしていく提案をしてまいります。

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第3回 (2020.1.11)
江戸時代の大坂 今に息づく町人文化
大阪くらしの今昔館館長・大阪市立大学名誉教授   谷 直樹氏

大阪“再起動”のきっかけとなるべく、蓄積してきた歴史都市としての魅力を再確認し、共有しようと始まった「錢屋塾 おおさか講座」。谷先生をお迎えした第三回講座は、えべっさんこと十日戎の最終日“残り福”の日に行われました。

商業都市・天下の台所として経済の中心を担った江戸時代、工業都市の発展のもと東洋のマンチェスターと呼ばれた大大阪時代、近年は注目される“集客都市”へと変遷を重ねる大阪。栄光の一端は、幕末に来日した外国人に「江戸はロンドン、京都はローマ、大坂はパリ」と言わしめたことからも明らかだそうです。

江戸が政治の中心地、京都が古都なら、「大劇場や茶屋が軒を連ね、当世風の日本人の遊び場であった大坂」は華やかなパリに形容されたというのです。つまり大阪は、法隆寺よりも古い伽藍配置を伝える四天王寺などが残る土地柄であるにもかかわらず、歴史を強調するのではなく、常に最先端都市を目指してきたのだと谷先生は解説します。

そうした中、歴史的魅力をどう掘り起こしていくのか。後半は、大阪くらしの今昔館で再現されている“町家と暮らしの知恵”をキーワードに話題が展開していきました。

鎌倉時代の辞書に「店家、マチヤ、坐売舎也」とあって、町家は本来、店舗付住宅。畳を基準に間取りを自在に変更できる、柱や梁は解体して移動先で再構築できるといった町家の合理性に、外国人は感嘆のコメントを残しているとか。

さて、いわゆる京町家よりひと回り大きいという大阪の町家。とはいえ、天保年間に作られたイラストマップ『浪華名所獨案内』を軸に紹介された豪商たちの住まいは驚くべき規模で、大坂城や生玉社(生國魂神社)といった歴史的建造物と並んで、それら船場の両替商や呉服店、道修町の薬問屋が “見どころ”として書き込まれていることにも納得。古地図にはモデルルートも示されており、思わず現代の“浪花”と見比べながら街歩きがしたくなったほどでした。

火事への備えや補償制度、八百八橋といわれた橋の修繕にかかる負担割合といった相互扶助に関する取り決めも万全。こうしたシステムはマンション共用部分の管理に近いものなのだと聞き、150年以上も前にコミュニティを円滑に運用する制度が“ご町内の知恵”として存在していたとは、さすがは最先端を貫いてきた大阪だと感心する声が上がりました。

最後に現存する長屋や町家を活かす取り組みが示された後、古き良き景観の保持とともに必要なものについて全員でディスカッション。相互扶助の精神を数字で明確に提示してきた大阪人の経済合理主義を今一度見直し、その機知を取り入れることが街の活力につながるのではないか。新たな展望へと期待が膨らむ時間となりました。

<受講者の声「今日知ったことを明日からどう活かす!?>
・大阪が拠点の企業で社内報制作をしている。地域愛を強めるきっかけづくりとして活用したい。
・暮らしの知恵、相互補助、リユース、リサイクルと大阪に限らず江戸期の日本人は素晴らしいと再認識した。
・こてこて・こなもん・お笑い以外の大阪の魅力を発信したい。
・天下の台所の意味の食文化。すばらしい蓄積があるのに埋もれて広まっていかない。活性化していきたい。

大阪人が大阪の良さを再認識し、自信と誇りをもって内外に大阪を発信できるようになることを目指します。
一緒に考え、学び明日からに活かしましょう!