売り買いは対等
千円を支払って千円分の物品やサービスを受け取れば、その売り買いは対等なはずです。しかし、あたかもお金を払った側が上であるかのような風潮に、世知辛くなったものだと思います。本来の原価に対して、過剰な広告費を充てるような製品や、クレームを一定の割合で必ず発生するコストのように見込んで商品設計をするような企業の体質も、関係性を歪めているとも言えます。消費者の多くも、それに慣れ、疑問を抱かなくなってしまったのかも知れません。対等な関係は互いに見識や気配りが求められます。このバランスが崩れるとクレームも過剰になるのでしょう。接待が謝意を含んだ社交ならばともかく、接待されたから買うという姿勢ならば、どこか情けなさを感じます。必要を見極め、適正対価を支払っての売り買いならば対等で尊大になる必要も、へりくだる必要もなく、売ったか買ったかで上下が決まるという発想に根拠がないのです。料理屋さんを出る時に「ご馳走さま」、バスやタクシーを降りる時には「ありがとう」と言うように、売っても買っても互いを尊重し合う習慣は、それが自然な関係であり、良いものだと思います。(文・正木)

